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サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団@ミューザ川崎('04 11/7)

曲目:
ハイドン:交響曲第86番ニ長調
ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』より「前奏曲と愛の死」
ブラームス:交響曲第2番二長調

音楽が最上の形で目の前に現れたのに、それを別の形ー言葉で伝えることなど、非凡ならざる身なれば不可能である。
そのことをお断りした上で、今日感じたことをつらつらと書いてみる。

この日の演目は地味目であり、正直それほど期待していなかった。
席も最前列と、クラシックのコンサートでは良いとは言えないところだ。
しかし、それらが全て裏目に……いや、良い方向に転んだ。

muza.jpg最前列ほぼ中央。指揮台までの距離は2メートルも無い。
オーケストラは指揮者を中心に半円を描いて、左から 1st. Vn, VC, Vla ,2nd.Vnと並んでいる(一曲目のみ)。いわゆる対向配置だ。
その半円を客席側に延ばし、指揮者を中心にして VCと対角線のあたりにぼくの席があった。
ミューザ川崎シンフォニーホールの客席は、ステージとそれほど高さに差がない。
席に座ったぼくの膝の高さくらいがステージのそれと一致する。
従って、あまりステージを見上げるという感じではない。サントリーホールとはここが違う。
このような至近距離で、まさに手を伸ばせば指揮者や演奏者に届きそうなところで演奏を聴いて、興奮しないわけが無い。
ラトルが大きく振った時の衣擦れの音や、演奏者がアインザッツを合わせる時の呼吸まで感じられるのだ。
当然管楽器との音量バランス、遠近感は最善とは言えない。しかし、そんなことは関係ない。
オーケストラの一部になったかのようなこの距離感が全てだ。
後ろを振り返りでもしない限り、常に視界にサイモン・ラトルが入っているということの凄さよ。
わりと左右にも顔を向けるので、表情も見られた。

最初の曲はハイドン。
ハイドンはこれまでほとんどちゃんと聴いたことがない。シンプルでそれほど面白みのない音楽だと思っていた。
しかし、この座席で聴くそれは素晴らしかった。
音楽の構造が単純なだけに、より深くその中に入っていけたような気がした。もちろん気がしただけだが。
以前オーケストラで演奏していた時のような、そんな感触を思い出した。

二曲目はワーグナーで楽劇『トリスタンとイゾルデ』より「前奏曲と愛の死」。
最初のチェロの最弱音、楽譜持ってないので分からないが、おそらくピアニッシモから始まる時の緊張感たるや……!
昨年サントリーホールで聴いたウィーン・フィルの同曲にはそれほど感銘を受けなかったのだが(鈍いんだな、きっと(^^;))、今日の演奏で目覚めたというか、背筋がゾクゾクっとした。
なにせ弦楽器に囲まれているような座席で、右から左から主旋律が伴奏が対旋律が雨あられ。
管楽器はミューザ川崎の極上のホールトーンのおかげで残響たっぷりに鳴り響き、耳に優しく届いてくる。
演奏が終わった後のフライング拍手も無く、実によい演奏だった。

最後にブラームス。
最初にちょっとハプニングがあった。ホルン奏者の一人が楽譜を忘れたのか、一度舞台に上がってなにやら慌てている。ライブラリアンも出てきてごそごそしてると思ったら、舞台袖に引っ込んだ。
ぼくの席からはホルンのあたりは良く見えないので、詳しくはわからない。
開演を知らせるベルから10分も経とうかという時に、やっとホルン氏はなんと指揮者のラトルと同時に舞台に上がる。ラトルもホルン氏に拍手しながらの入場。場内は沸いた(笑)。
演奏も、最初に書いた通り言葉でその良さを伝えることはぼくのボキャブラリーではできない。
しかし、これってこないだ横浜でスーパーワールドオーケストラの演奏で聴いたのと同じ曲だよなぁ?嘘だろ(^^;) と思うくらい良かった。
第四楽章のフィナーレのところではまたも背筋がゾクゾクして、感激のあまり泣きそうになった。いや、泣きはしなかったが、それくらい感動した。

マエストロは拍手に応えて何度も何度も舞台に再登場した。
指揮者は拍手に応える時でも、客席の中ほどや二階席三階席に目を向けることが多い。
しかし、最後から二回目だったろうか、目を落として最前列のお客さんも見てくれた。その時、ラトルと目が合ったような気がした。
感激した。自然と口から「ブラボー!」という言葉がでた。普段ぼくはコンサートでも決してそんなことは口にしないのだが、この時はまったく無意識にそう叫んでしまった。

ラトルは最後に「スミマセン、 I don't speak Japanese .」と前置きし、英語で次のようなことを述べた。
「あなたがたはミューザ川崎のような非常に素晴らしいコンサートホールを持てて大変幸運だ。私たちはこの驚くべき成果を挙げた建築家たちにお祝い申し上げる。 Thank you.」
ぼくのヒアリング能力が貧弱なため、間違ってたらごめんなさい。

ちなみにプログラムによると、1957年11月4日に日比谷公会堂で行われたベルリン・フィルの初来日公演の演目が、ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』より「前奏曲と愛の死」とブラームス交響曲第2番二長調だったそうだ。
指揮はもちろんカラヤン。
ラトルがそのことを知って今日の演目を組んだのかどうかは分からない。
しかしそのことを知った上で今日の演目を眺めれば、今回の来日公演中最も感慨深い夜であったかも知れない。

今秋の海外オーケストラ来日公演は異常とも思えるラッシュで、その気になれば一週間ぶっ通しでベルリン・フィルとウィーン・フィルという世界最高峰のオーケストラを東京で聴くことができる。11月16日などこの二楽団が都内で鉢合わせしているのだ。
実はこの 16日、ぼくはウィーン・フィルのチャイコフスキー交響曲第5番のほうを聴きたかった。しかしチケットが取れなかったのだ。
ベルリン・フィルのやるマーラーの交響曲第5番も大好きな曲だが、どちらかといえばチャイコだ。しかもベルリン・フィルの会場は上野の東京文化会館。サントリーホールより見劣りするのは否めない。
しかし今日の川崎での演奏を聴いて、がぜんベルリン・フィルに対する期待値が大きくなった。

しかも、である。今日、川崎でのベルリン・フィル公演の時間帯にNHKーFMでウィーン・フィル、指揮ワレリー・ゲルギエフのチャイコフスキー交響曲5番をウィーンから生中継で放送していた。
エアチェックはしていなかったが、家に急いで帰ってきて第四楽章の後半を聴くことができた。しかしなんとも大味な演奏に感じた……。
生演奏と、ウチのオーディオ・セットしかもFMを比べて見劣りするなどと言ってはウィーン・フィルに失礼だが、今は 11月 16日にベルリン・フィルのチケットのほうが取れて良かったと心底思っている。


追記
本日、同じコンサートに来てらっしゃった方のcocologを見つけました。
私と同じ最前列で聴いてらっしゃった方はこちら「まぁ、お茶でも」

コンセルトヘボウとダブルヘッダーした方のcocologはこちら「クラシックログ2004/05」
コンセルトヘボウは金曜日にぼくも聴きに行きます(^^)
リンク先にある画像で最前列の頭の大きいのがたぶんぼくです(^^;)

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コメント

TBありがとうございました。

奇しくも、同じ演奏会で、同じ列に!

私は、16日は、プレオーダーが外れて、とても残念でした。

楽しんでいらしてください♪

投稿: mari | 2004/11/08 02:26

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