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トンデモ映画評(香山リカの場合)

久しぶりに心底頭に来る映画評にあった。
いや、正確には映画評ではないのだが。
去る8月8日に起きた小泉純一郎首相による衆議院解散に関する談話だ。
2005年8月9日(火)東京新聞の夕刊11面、大枠では「コイズミの大乱 今必要な指導者とは 街の声はリーダーシップ」という記事であり、その中の一コメントに過ぎない。
以下に恣意的な部分引用を避けるため、全文を引用する。


「単なる自己陶酔では
  精神科医の香山リカさんの話
実体がないのに信念を貫くかに見せかける小泉流の手法に、国民が目くらましに遭っているのではないか。
聞く耳を持たずに、一度決めたらやり遂げるとい美学は単なる自己陶酔だろう。
政治的空白をつくる無責任なリーダーシップとも言える。
自民党総裁就任時の『自民党をぶっこわす』というせりふはだれもが比喩(ひゆ)だと思っていたはずだ。
戦艦大和の巨大模型での再現や映画「亡国のイージス」の人気などを見ると、滅びの美学が格好いいと感じる若者も少なくないのだろう。」

はて?「滅びの美学」?
「亡国のイージス」で描かれていたのは「滅びの美学」なのだろうか?

ぼくはこの映画を中途半端な形で二回しか観てないので、そのメッセージを正確に理解しているとはいえない。
しかし、あの映画のどこに「滅びの美学」が描かれていたのだろうか?

「亡国のイージス」が描こうとしていたのは、そんなものではない。

「今、この国の未来に不安を抱かぬ者は一人としていないだろう。未曾有の経済的発展を享受しながら、理想も持たず、国家としての責任能力も自覚せぬまま世界進出を遂げた日本。バブル崩壊が経済を袋小路へと迷い込ませたとき、そこに我々が誇るべきものは何ひとつとして残らなかった。」
「『イージス』とはギリシャ神話に登場する最高神ゼウスが娘アテナに与えた、あらゆる邪悪を払う『無敵の盾』のこと。同時に、最新鋭の防空システムを搭載し、専守防衛の象徴ともいえる海上自衛隊の護衛艦をも指し示す。だが、語るべき未来も見えず、守るべき国家の顔さえも失った『亡国の盾』に果たして意味などあるのか。(「亡国のイージス」公式ホームページ、introductionより引用)

しかしこの作品は、「そんな国など滅びてしまえ……!」と絶望などはしていない。

本来日本を守るべき盾であったはずのイージス艦「いそかぜ」が某国工作員によって乗っ取られ、その牙を首都東京に向け、まさに日本を滅ぼそうとする。
その「いそかぜ」の行動を阻止するべく行動した別の自衛艦は、海上戦闘において撃沈される。
平和ボケした我々に対してテロリストから痛烈な台詞が発せられる。

「よく見ろ日本人、これが戦争だ。」

しかし、真田広之が演じる先任伍長・仙石は、「いそかぜ」を取り戻すべくたった一人で戦いを挑む。
そして、部下である如月行一等航海士(勝地涼)に対して、次のような台詞を言う。

「生きろ。絶対に生きろ。」

映画未見の方のために結末は書かないし、たぶんそれほど正確にも覚えていない(苦笑)。
しかしこの映画のどこが「滅びの美学」を描いているというのか?

守るべき価値の無い国家であるかも知れないが、そこに生きる一人ひとりの命を守るために戦う男を描き、命を無駄にしてはいけないというメッセージが込められていた、そうではないのか?
そしてもちろん、今の日本というこの国が「平和=戦争の無い状態」であるだけでいいのか?という問題も突きつけて、観客に考えることを要求しているのだ。


「滅びの美学」ならば、同じ真田広之が出演していた「ラスト・サムライ」のほうだろう。
一対一の近接戦闘であれば、足軽など何人いようともかなわないほどの、千年の伝統を持つ戦闘技術を誇るサムライ。
しかし時代は移り、近代国家へと変貌を遂げる日本にサムライはもはや必要なくなっていた。
無敵のサムライは、機関砲の前に一太刀を浴びせることもなく斃れていく。
最後のサムライは、満開の桜のなかで、自らも桜と同じように散っていく。
近代化の波に乗ることができず、サムライとしての道を全うして死んでいく自分に対してか、それとも散りゆく桜に対してなのか、勝元(渡辺謙)はただ“Perfect !”とつぶやく。

これだろ? 滅びの美学というのは。


おそらく香山リカという輩は「亡国のイージス」という映画を観ていないのだろう。
単に「亡国」というタイトルから、「国」が「滅(亡)びる」という意味を受け取っただけだろう。
それとも、本当に映画を観た上で「亡国のイージス」のテーマは「滅びの美学」だと思ったのだろうか?(=_=;)
自分の考えに自己陶酔しているのは、ご自分ではありませんか?香山さん。
こんな人のモノの例えに使われたのでは、映画も浮かばれない。迷惑であろう。
香山リカのトンデモぶりを嗤って、本稿を終えたい。

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