ティーレマン/ミュンヘン・フィル@サントリー(11/4)
終わり悪ければすべて台無しとイニシエより申しますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
今日もサントリーホールまで行ってきました。
聴いたのはクリスティアン・ティーレマン指揮、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団で、ブルックナー交響曲第5番変ロ短調。
席は昨日のP席とうって変わって、久しぶりにオケを前から観れました。
前というか、横でしたが、ホルンの朝顔が正面に向いてないってなんて素晴らしいんだろう(笑)。
P席は安くて指揮者の表情や指揮振りが見れて、元アマオケやってた自分としてはまるでオケの一員になってるような眺めも楽しいわけですが、いかんせん音のバランスはとても悪いです。
対抗配置なのにファーストバイオリンが右から、セカンドが左から、それはまあいいです。
手を伸ばせば後頭部が触れそうなところにティンパニ奏者。
三つか四つ置いてあるティンパニを叩き分けると、音が右に左にステレオで移動するってどーよ?な世界。
トリル(トレモロだっけ?)の後、小節頭で「パンっ!」と決めるところは必ず半拍くらい前に聴こえるし。でもこれで正面から、指揮者の位置から聴くと合って聴こえるんだよ、そのはずだよ。
ホルンの朝顔がこっち向いてるので、常に音は「ボヘッ ボヘッ」と聴こえてくるんだよ。やっぱりホルンは間接音で聴かないとダメだね。
ラッパとバイオリンの音は全然タイミングが合ってないように聴こえるし、でも等距離で左にあるチューバと右にあるコントラバスは合って聴こえるんだよ不思議だね不思議じゃないけど。
と、最近はそんな安くて眺めの面白い、音はもっと面白いP席を愛していたわけですが、今日は久しぶりに前から観れましたリフレイン。
あえて曲目でこの席を選んだんです、ブル5ならP席じゃなく前から聴かねばならんだろう、だけどS席はちょっと高すぎるから少しだけ節約してA席最前列さティーレマンの横顔ステキね。
これが大正解。
ブルックナーの、というかブル5の、月並みな表現だけど大伽藍のような音につつまれ至福の90分。
シンフォニー、交響曲はかくあらねばならない。
覚えやすい旋律なんかなくていいんだ、この音の洪水がずっと鳴っていれば、この巨大な音の構築物をずっと感じていたいから、ブルックナーの曲はこんなに長くて長くて長いんだね、つーか休憩無し一曲勝負って聴くほうも疲れるんだぜオペラとかと違って気ぃ抜くところがないから(だって音が消える瞬間やゼネラルパウゼのところなんかほんとに息止めてるんだぜぼくは、自分の呼吸する音がうるさいんだから)。
そういや打楽器もティンパニだけ、なんかここでベルだか鐘だか鳴りそうじゃないかと思うタイミングでもそんな派手なものは鳴らないんです。
古典的な弦、木管、金管、ティンパニ、これだけであの大きなシンフォニーを鳴らしきるその潔(いさぎよ)さがステキなのさ潔(いさぎよい)いっていうのかそれトロンボーンとかチューバまであるぞ。
後ろから聴くと音色もタイミングもいまひとつズレて聴こえたあのオケが、正面から聴くとバッチリ。
すべての楽器が鳴り響き、音は溶け合い、一つの音響の塊になる、でも個々の楽器一つ一つの音は確かに聴こえてくる。
これだこれだよ交響曲、マーラーってやっぱり交響曲っていうより大きな室内楽だものさ、交響曲はブルックナーさ。
だからさ、だからなのさ、音が鳴り響いたあとの残響が、空間に響きが消えていく瞬間がなによりも大切なのさ。
今日フライング拍手した人、素直に出てきなさい。
素直に自首して、死ね、つーか殺す。
ティーレマンは最後の音が鳴ってから、ゆうに20秒は指揮棒を下ろさずにいたんだぜ、それを全部無駄にしちまったんだお前らは。
ここで冒頭に戻る、終わり悪ければすべて台無しとイニシエより申しますが……
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